「木と暮らす―――木製玄関ドアの魅力」 【ユダ木工株式会社】

玄関は家の顔。ドアひとつで印象が変わるので、木製か金属製かは悩みどころ。最近注目されている、木製玄関ドアの魅力とは? 前身は建具業で、現在は木製玄関ドアメーカーとして95年の歴史がある、ユダ木工の湯田さんに聞きました。

代表取締役 湯田 卓

ユダ木工株式会社
所在地:廿日市市木材港北7-28
1924(大正13)年創業。木製の高性能な玄関ドアや室内ドア(開き戸・引き戸)、木製サッシの製造販売。従業員37人。

https://www.yudawood.com/

木製玄関ドアの魅力とは?

京都や奈良の街並みに私たちは心惹かれます。年を重ねてこそ雰囲気のある、本物の佇まい。その心地よさ、経年の美、手入れしながら永く使うことをコンセプトにした木製ドアを、ユダ木工は作っています。
ユダ木工の木製玄関ドアは性能面でも高い評価をいただいております。日本の定める断熱性能基準において、開き戸・引き戸ともに最高ランクのH-5等級をクリア。新製品の「超断熱ドア」では世界規準の高断熱性能、Uw値=0.82W/㎡kを実現しました。
木材の熱の逃がしにくさはアルミの1700倍。木は本来とても優れた素材なのです。木のもつ魅力や性能を最大限に活かす工夫で、日々製品開発を行っています。

本物の素材だけが持つ「経年美」がその魅力

材料へのこだわりは?

日本の森は、人の手で管理することで成り立っています。2005年、国内の森林環境が危機的状況にあることを知り、当社は国産材を使ったドアづくりの研究を始めました。そして2011年に発売したのが、国産ヒノキを使った「MIYAMA桧 玄関ドアシリーズ」。それから徐々に国産材にシフトし、現在85%の玄関ドアに地元のヒノキを使っています。
山から川、海へつながる水の循環の中で、中山間地域の農産物や瀬戸内の海産物にも、森の恵みがもたらされています。ヒノキは優れた木材であるだけでなく、地域の豊かな環境を支えているのです。木を扱う地元企業として、里山の木を活用し、地域の環境を守っていきたいと思っています。

MIYAMA桧シリーズの断面図

ヒノキの魅力についてもう少し教えてください。

当社が使っているヒノキ材は、戦後植林された樹齢70~80年の木です。ヒノキ材は、構造用材にも使われるほど強度があり、古くは法隆寺の柱にも使われています。木材の表面はちょうど良い硬さで、木目は緻密。使い込むほど味が出てきます。また、香りにはリラックス効果があり、割れや反りが少ないのが特徴です。
ヒノキには高いイメージがあるかもしれませんが、当社では丸太ごと仕入れて全て使い、材料の無駄をなくしコストを抑えています。仕入れた丸太は製材して端材を粉砕し、木を乾燥させるボイラーの燃料に利用しています。
節は職人が丁寧に節埋め処理をし、木そのままの姿を生かしてドアをつくります。手間をかけても「地域で育った木材を無駄なく丸ごと使って暮らしに生かし、木の命を循環させることが地球を守ることにつながる」という信念に基づいて、製品をつくっています。

丸太ごと仕入れ、無駄なく使う/丁寧に節埋め作業を行う

木材の反りや歪みについては?

木材の乾燥技術が品質を大きく左右します。当社では、蒸気式木材乾燥機で温度と湿度を徹底管理し、1週間〜10日かけて乾燥させています。それでも木材は天然の素材なので、多少の反りなどが出ることがあります。これに十分対応できるよう、蝶番や靴摺※などの調整機能を充実させています。
※靴摺:ドアの下枠

メンテナンスはどうすればよいのですか?

塗装には木材の調湿機能を妨げず、質感も自然に仕上げられる、植物油ベースの含浸塗料を採用しています。この塗料の大きな利点は、重ね塗りで簡単にメンテナンスができることです。
ご購入いただいたお客様にメンテナンス用のキットをお渡ししています。附属の「クリアワックス」を数年に一度塗布することで撥水効果が保たれます。カビや軽微な割れの発生・進行を防ぐ効果もあります。
ときどき手入れをしながら、本物の木製ドアのある豊かな暮らしを楽しんでください。

メンテナンスの様子/メンテナンスキット