三大産地の一つ「石見」で聞く――石州瓦の魅力 【 石州瓦工業組合】

現在、自然災害が頻発する中、優れた耐久性や経済性から、粘土瓦が再び注目を集めています。そこで、三州(愛知県)、淡路(兵庫県)と並ぶ日本三大産地の一つ、石州瓦(島根県)について製造メーカー6社で構成する石州瓦工業組合(江津市)に聞きました。

専務理事 佐々木 啓隆

石州瓦工業組合
所在地:島根県江津市嘉久志町イ405

http://www.sekisyu-kawara.jp

石州瓦とはどんな瓦でしょうか?

石見地域(=石州)で採れる粘土を原料として、約400年前(江戸初期ごろ)に発祥した瓦です。北前船などを使い日本海沿岸から九州まで日本全国で普及しました。今でも、厳冬の北海道や台風の通り道である九州でも多く使われています。夏は暑く、冬は積雪にさらされる中国地方の山間部で見られる赤い屋根は、ほとんどが石州瓦です。

石州瓦 「釉薬いぶし色」の家 写真提供:橋本建設(株)

石州瓦のすごさとは?

最大の特長は、1200℃以上の高温焼成です。これにより、凍害の原因である水分の侵入をカットするとともに、色褪せや色ムラが起こりにくく、衝撃にも強い瓦なります。 
石州瓦工業組合では、第三者機関などと共同で20項目を超える試験や実験を実施し、石州瓦の屋根材としての性能や品質を科学的に分析して右記のような強みを公表しています。

瓦屋根って高いイメージがありますが。

初期費用のみを考えるとそうかもしれませんが、トータルでは高くありません。粘土瓦の耐用年数は約60年。メンテナンス費用まで含めて考えると、新築から20年間でかかる費用の試算では、金属屋根との差はなんと51万円。長いスパンで見れば、コストパフォーマンスは高くなります。また、ほぼメンテナンス・フリーなので工事の段取りなど煩わしさもありません。

赤や黒の和瓦以外にも種類があるのでしょうか?

実は、和瓦だけでなく、洋風の家にも合うS瓦やフラットな平板瓦もあり、ソーラーパネル対応型といった形に加え、色も豊富にラインアップされています。

カラーバリエーション

また、屋根材としてだけでなく、壁や床材としての活用も進み、リッツカールトン東京(東京都)などでも採用されています。
私たちがつくる瓦は、皆様の生活の安全を守り、街の景観をつくる要であると自負し、日々精進しています。屋根の葺き替えや新築に、ぜひ「石州瓦」をご用命ください。